個人再生相談のとき質問される4つのこと

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個人再生の相談のときに質問される内容と答え方

司法書士松谷の写真

個人再生に興味をもたれても、実際に司法書士の事務所に相談に行くのはためらわれるという方は、多いと思います。

「相談に行ったとき、聞かれたことにきちんと答えられるかな」「言いたくないことを聞かれたりしないかな」などと不安に思われる方も少なくありません。

このページでは、個人再生の相談のときに司法書士はどんなことをお聞きするのか、具体的な質問内容や質問の意味、答え方のポイントや回答例などを解説しています。

個人再生相談のとき質問される4つのこと

「個人再生をしたい」というご相談があったときに、お聞きする内容は大体決まっています。

それは、「債務の内容」「債務が増えた経緯」「家計収支」「財産状況」の4つです。裁判所で個人再生の認可を受けることができるかどうか、手続きが無事に通るかどうかを判断するために、お聞きする内容です。

それでは、これらの質問事項について、質問の意味と答え方をご説明してまいります。

1.「債務の内容」に関する質問

「どこの会社からいくらの借入れがありますか?」

まずは、「債務の内容」についてです。

どこの会社からいくらの債務があるのか、キャッシングだけでなく、ショッピング、車のローンや家電のローン、住宅ローンも含めて教えてください。

よく、手続きをしたい会社についてのみ申告され、手続きから除外しようと思っている会社を申告されない方がおられますが、個人再生の場合、手続きから一部の債権者を除外することはできませんので、すべての債務について、教えて下さい。

また、親族からのお借り入れや奨学金のご利用、携帯料金や税金の滞納などがあれば、それも債務ですので、それらについても教えて下さい。

「これらの会社から、いつ借入れされましたか?」

どこの会社からお借り入れがあるのかがわかったら、次はそれぞれの会社からの「お借入れ開始の時期」をお聞きします。それぞれの会社について、いつ借入れ(キャッシングやショッピングリボの利用)を開始したのか、教えてください。

この質問で司法書士は、過払い発生の可能性を判断したり、手続き直前に駆け込み的に多額の借入れをした債権者がないかどうかなどを判断します。

後からお聞きする「借り入れの増えた経緯」にも関係する部分ですので、事前に契約書や通帳などをご確認いただき、いつ借り入れを開始したかわかるようにしておいていただければと思います。

司法書士による「債務の内容」の聞き取りの様子

司法書士

では、現在どこの会社からいくらぐらいの債務があるか、大体の金額を教えていただけますか。キャッシングだけでなく、ショッピングや車のローンなども含めて、すべての債務を教えて下さい。

ご相談者様

まず、A社から約100万円。それに、M銀行のカードローンが約50万円、Rカードのショッピングリボ100万円とキャッシング50万円、P社とS社からの借り入れがそれぞれ50万円あります。あとは、住宅ローンがあります。

司法書士

住宅ローンは、どこの銀行で組まれていますか?また、担当しているのはどこの支店ですか?

ご相談者様

○○銀行で組みました。支店は、大阪駅前支店だったと思います。

司法書士

わかりました。では、住宅ローン以外の借り入れは全部で5社、合計は、大体500万円ぐらいですね。親族や友人などからの借り入れはありませんか?

ご相談者様

はい。それですべてです。親族や友人などからの借り入れはありません。

司法書士

わかりました。ではこの中で、一番昔から取引をされているのは、どの会社ですか?

ご相談者様

A社です。10年位前にカードを作りました。

司法書士

10年位前から、キャッシングやショッピングリボの利用がありましたか?

ご相談者様

カードを作った最初の頃は、カードで買い物をしても、翌月一括で支払いをしていました。リボの利用は、5年ぐらい前に失業したときに、生活費をA社のカードで払うようになってからです。

司法書士

わかりました。では、A社とは5年ぐらいのお取引ということですね。その他の会社は、いつ頃から利用するようになりましたか?

ご相談者様

どのカードもほとんど同じ時期ですが、P社とS社は、1年ぐらい前から使い始めました。

司法書士

わかりました。

2.「債務が増えた原因と経緯」に関する質問

「債務が増えた原因や経緯を教えて下さい」

次に、「債務が増えた原因や経緯」についてです。

債務が増えたのには、原因があるはずです。個人再生は、自己破産の場合と違い、債務が増えた原因が浪費やギャンブルの場合にも免責が認められますので、隠さず、正直にお答えください。

まず、借金がゼロの時代、借金が全くなかった時代にさかのぼっていただき、最初にキャッシングやカードローンを利用することになったきっかけを思い出してください。そしてそこから、どのようにして債務が増えていって現在の状況になったのか、その原因となった出来事を、時系列に沿って教えていただきたいと思います。

よく、「借金を返すために借りました」とお答えになる場合があるのですが、これでは、「そもそもなぜ借金ができたのかが」という質問の答えになっていませんので、いちばん最初の、債務が全くない時代にさかのぼり、そこから、はじめて債務ができたところからご説明いただきたいと思います。

事務所に相談に行ったその場で考えると、思い出せなかったり、うまく答えられないかもしれません。相談に行く前に、今までの経緯を通帳や手帳、カードの利用明細、契約書などで確認し、かんたんな箇条書きのメモを用意していくと、わかりやすいと思います。

債務が増えたきっかけや原因を振り返ってよく考えてみることは、今後また同じような状態にならないためにも、非常に重要です。

「債務が増えた原因と経緯」の質問に対する回答例

ご相談者様

平成○年頃、退職して半年間無職の期間があって、その間の生活費をA社から約10万円借りたのが、一番最初です。その後も、今より収入が低く、生活費が不足するため、B社のカードで買い物をして、リボ払いをするようになりました。平成○年頃には、ショッピング枠もキャッシング枠も限度額いっぱいとなり、借入残高は2社合計で150万円ほどになっていました。令和○年には部署が変わって残業ができなくなってさらに収入が下がったため、払えなくなりました。

ご相談者様

平成○年頃、ローンを組んで車を購入しました。ローンの総額は○○万円ぐらい、毎月3万円の支払いをしていました。そして、平成○年には住宅ローンを組んで現在住んでいるマンションを購入し、住宅ローンの支払いが毎月12万円となりました。そして、平成○年、子供ができて妻が仕事を辞めてからは生活費が足りなくなり、銀行のカードローンの利用が増えていきました。返済ができなくなるとまた別のカード会社で借入れをして、約1年前に今と同じぐらいの債務総額になって、返済ができなくなりました

3.「家計収支」に関する質問

「家計全体の収入と支出を教えて下さい」

個人再生の手続きが認可されるために、非常に重要なのが、「個人再生の手続きによって債務が大幅に軽減されたとして、それをきちんと支払いできるのか」ということです。

そのために最も重要なのが、「現在の家計収支が、再生の支払いを十分できるぐらいプラスであること」です。したがって、個人再生のご相談のときには、現在の家計収支について詳しくお聞きすることになります。

そして、現状、毎月の生活費の支払いで精一杯で返済の余力はない状態であるなら、収入を増やすか支出を削ることができない限り、裁判所に個人再生が認可されることは難しいということになります。

裁判所は、原則として同居の家族全体でひとつの家計を営んでいるものとして、支払いできるかどうかを判断しますので、同居している家族全体の家計収支について、教えてください。

司法書士による「家計収支」の聞き取りの様子

司法書士

現在の家計について教えて下さい。ご本人だけではなく、同居のご家族全体の収入と支出をお願いします。まず、毎月の収入はどのぐらいですか?

ご相談者様

色々引かれて、手取りでは28万円ぐらいだと思います。

司法書士

奥様は、仕事をしておられますか?

ご相談者様

はい。パートで働いています。月に6万円程度の収入があります。あと、児童手当が1ヶ月あたり1万円あります。

司法書士

わかりました。家計収入は、合計で約35万円ですね。では、次に支出についてお聞きします。住宅ローンは月においくらですか?

ご相談者様

住宅ローンは毎月10万円、夏と冬のボーナスのときに、ボーナス払いが10万円あります。

司法書士

毎月の食費や、光熱水費、通信費はいくらぐらいですか?

ご相談者様

食費が家族4人で10万円ぐらい、光熱水費と電話代で3万円ぐらい、通信費は、インターネットの料金と家族全員の携帯電話代をあわせると、3万円ぐらいでしょうか。

司法書士

ご家族の中で、車に乗られる方はおられますか?

ご相談者様

いいえ。車は誰も乗りません。

司法書士

そうですか。では、生命保険は入っておられますか?

ご相談者様

はい。生命保険に入っています。毎月の掛け金は約2万円です。

司法書士

なるほど。それでは、合計毎月少なくとも28万円は生活費がかかるわけですね。計算上は、35万円の収入に対して28万円の支出となり、計算上は、家計収支は7万円のプラスとなりますが、実際は、返済に充てられるお金は、どのくらいありそうですか?

ご相談者様

子供の塾代もありますので、5万円を超えると、厳しいと思います。

司法書士

わかりました。

4.「財産状況」に関する質問

「お持ちの財産について、教えて下さい」

個人再生の認可後の返済額に、非常に影響が大きいのが、「持っている財産の価値の合計額がどのぐらいあるのか」ということです。それは、個人再生には「清算価値保障原則」があるためです。

清算価値保障原則とは、「持っている財産の総額以上の額を支払わなければならない」という、個人再生の最低弁済額に関する原則です。つまり、財産があるのであれば、最低限、その財産の価値の合計分は支払いをしなければならない、というルールです。

たとえば、債務の額が500万円で、通常であれば100万円の返済となるケースであっても、持っている財産の合計額が200万円であった場合には、清算価値保障原則により返済額が200万円に引き上げられるということになります。

財産の代表的なものとしては、不動産、自動車、保険の解約返戻金、退職金などです。その他、株や投資信託、積立金や貴金属なども含め、それぞれの財産の価値を算定する必要があります。

これらの財産の価値の詳しい算定方法は、裁判所によってルールが違うこともありますのでご説明しませんが、司法書士は、どのような財産をお持ちであるかを確認したうえで、その価値を算定し、その総額がどのぐらいになるか、計算していきます。

司法書士による「財産状況」の聞き取りの様子

司法書士

では、お持ちの財産について、教えて下さい。まず、住宅の価値はどのくらいかわかりますか。近隣で、ご自宅とよく似た条件の物件が売却されているような例を見られたことはありますか?

ご相談者様

はい。家の売却については少し前から考えていましたので、チラシなども気にしてみるようにしていました。だいたい、1,500 万円ぐらいだと思います。

司法書士

そうですか。住宅ローンは3,000万円ぐらい残っていますので、売却してもお手元に売却代金は残らない状態、オーバーローンの状態ということですね。わかりました。あと、生命保険に入っておられるとおっしゃっておられましたが、その保険には、解約返戻金はありますか?

ご相談者様

解約返戻金はいくらかわかりませんが、あると思います。

司法書士

何年くらい、保険に入っておられますか?

ご相談者様

3年ぐらいと思います。

司法書士

わかりました。あと、現在の会社にお勤めされて何年ぐらい経っていますか?

ご相談者様

現在、4年目になります。

司法書士

わかりました。ほかに、株や投資信託、積立金や貴金属などはお持ちですか。

ご相談者様

持っていません。

チェックポイント

上記のケースでは、住宅についてはオーバーローンの状態ですので、価値はゼロとなります。保険の解約返戻金はあるということですが、契約期間が3年程度ですので、額はそれほど大きくはなさそうです。そして、退職金は裁判所によってルールが違いますが、大阪地方裁判所や神戸地方裁判所では、5年以上勤務されていない場合、退職金はゼロとなります。退職金がある場合、その額の8分の1の額が、資産とみなされます。これらのすべての財産の合計額が100万円を超える場合、清算価値保障原則により、再生の返済額が引き上げられる可能性が出てきます。

まとめ

以上、「個人再生をしたい」というご相談の際、よく聞かれる質問とその回答例についてご説明いたしましたが、いかがでしたでしょうか。

もちろん、ご相談時に聞かれることはこれらですべてではありませんが、主要な質問はすべてご紹介させていただきましたので、これらの質問に対するお答えをご用意のうえ相談に臨まれれば、スムーズにご相談が進むでしょう。

※松谷司法書士事務所では、コロナ禍収束までの間、任意整理・時効援用については面談なしで受任可能ですが、自己破産・個人再生については、面談なしで手続きをスムーズに進めることが難しいため、面談が必須となります。

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