借金を相続したときの対処法

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借金を相続したときの対処法

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相続が発生した際に、被相続人(亡くなった方)に借金があったことが判明することがあります。

相続人は、被相続人のプラスの財産も引継ますが、マイナスの財産も引き継ぎます。したがって、被相続人の残した借金は、相続人がその支払い義務を引き継ぐことになり、債権者から相続人に対して返済を求められることになります。

このページでは、このような借金の相続への対処法についてご説明しています。

借金は相続人に法定相続分の割合で引き継がれる

被相続人の残した借金は、法定相続分の割合で、当然に相続人に引き継がれるということになります。

たとえば、夫が200万円の借金を残して亡くなって、妻と子供が二人いる場合を考えてみます。

このとき、妻の法定相続分は2分の1、子供の法定相続分はそれぞれ4分の1ですので、妻は100万円、二人の子供はそれぞれ50万円の借金を相続するということになります。

そして、借金は遺産分割協議の対象になりませんので、相続人全員で話し合って、法定相続分とは異なる割合で相続すると決めても、債権者にそれを主張することはできません。

たとえば上記の例で、亡夫の残した全ての借金200万円は、妻がすべてを引き受けるという話し合いが相続人全員(妻と子供2人)の間でまとまったとしても、債権者は子供たちに対して返済を求めることもできるということになります。

借金があるかどうかわからないときは

被相続人と疎遠である場合など、被相続人が借金を残しているかどうかわからないという場合は、どうやって調べればよいのでしょうか。

このようなとき、被相続人の債務を「ある程度」調査できる方法があります。
それが、信用情報の開示です。

信用情報機関には、JICC、CIC、KSCと呼ばれる3種類があります。

信用情報機関 加盟している会社
株式会社日本信用情報機構(JICC) 主に消費者金融が加盟
株式会社シー・アイ・シー(CIC) 主に信販会社やクレジットカード会社が加盟
全国銀行個人信用情報センター(KSC) 主に銀行や信用金庫等が加盟

これらの信用情報機関に加盟している金融機関と被相続人が取引をしている場合には、信用情報機関の情報開示をすれば、会社名や債務額などがわかります。

信用情報の開示は、相続人からすることもできます。

開示対象者が亡くなられている場合の郵送開示のお申込み手続きについて(JICC)

郵送による法定相続人開示(死亡開示)の申込手続きにあたって(CIC)

法定相続人による開示のお手続きについて(KSC)

ただし、被相続人の信用情報を開示したとしても、すべての債務が明らかになるわけではありません。これらの信用情報機関に加盟していない会社があるためです。

たとえば、債権回収業者などは、信用情報機関には加盟していませんので、被相続人が債権回収に債務を負っている場合には、信用情報を開示しても、何もでてこないことになります。また、友人や親戚などからの個人的な借入れや、滞納している税金などについても、信用情報を開示しても出てきません。

信用情報の開示をしても、どこを調べてもどうしても借金の有無がわからないというときには、債権者が請求してくるのを待ってみるしかありません。

相続放棄で借金の相続を回避できる

借金の相続を避けるためには、相続放棄をするという方法があります。

相続放棄とは、被相続人のすべての財産(プラスの財産もマイナスの財産も)を引き継ぐことを拒否する方法です。相続放棄をすることによって、最初から相続人とならなかったことになります。

相続放棄は、被相続人の最後の住所を管轄する家庭裁判所に申述書を提出して受理されることにより認められます。

相続放棄の手続きについて詳しくはこちら

相続放棄は、相続の開始を知ってから3か月以内にしなければいけません。ただし、被相続人に借金があることを知らず、知らなかったことについて相当な理由があると認められる場合には、相続開始から3か月以上経過していても、相続放棄が認められる場合もあります。

相続放棄は、借金がある場合にのみできるというわけではありませんので、「借金があるかもしれない」「生前に借金があったが、完済しているかどうか怪しい」というような場合には、念のため相続放棄をしておくというケースもあります。

このように、相続放棄をすれば相続人ではなかったことになり、借金を相続しなくてすみます。ただし、相続人ではなかったことになるのですから、亡くなった方が不動産などの財産を持っている場合でも、その財産を相続することはできなくなります。

消滅時効が成立している場合も

もし被相続人が借金を残していたとしても、被相続人が生前から借金の支払いを長期間していなかったような場合には、消滅時効の援用をすることで、債務を消滅させることができる場合があります。

消滅時効の援用について詳しくはこちら

どんなに長期間放置された借金であっても、自動的に消滅することはありません。相続した借金を消滅時効によって消滅させるためには、「消滅時効の援用」を、相続人からしなければいけません。

消滅時効の援用というのは、「時効の利益を受ける」という意思表示です。消滅時効の援用は通常、相手方に対して時効援用通知書を内容証明郵便で送付する方法で行います。

クレジットカードや消費者金融からの借金や立替金については、通常、最後に返済をしたときから5年で時効にかかりますか、何年で時効にかかるのかは、その借金の発生の時期や種類によって異なります。

消滅時効期間について詳しくはこちら

過払いになっている場合も

少し別の角度から検討すると、借金が高金利の消費者金融や信販会社等からの借入で、被相続人が生前に長期間に渡って借り入れと返済を繰り返していたような場合には、利息制限法による引き直し計算によって借金がなくなったり、逆に「過払い金」が発生していることもあります。

この場合、相続人から過払い金の返還請求ができることになります。実務上は、遺産分割協議をして、過払い金を相続する相続人から返還請求をすることが多いと思われます。

また、生前に取引を継続していて、完済し終わっている消費者金融等があれば、完済後の過払い請求も可能です(取引終了から10年が経過すると、時効により請求ができなくなります)。

※過払い金返還請求については、こちらの過払い金専門サイトのページ(松谷司法書士事務所による過払い請求の解説)で詳しく解説しています。

団体信用生命保険を確認

団体信用生命保険とは、お金を借りている人が死亡した場合に、保険会社によって残債務全額が弁済される仕組みの保険です。通称「だんしん」と呼ばれています

住宅ローン融資の場合にはほぼ100%加入しなければいけない保険なのですが、銀行ローンやクレジットカード、消費者金融からの借入れ等の場合には、加入していない場合の方が多いようです。

加入の有無については、債権者に確認する必要がありますが、もし被相続人が「団体信用生命保険」に加入していた場合には、保険から返済がされることになり、相続人は返済の必要がなくなります。

複数の借り入れ先がある場合、保険に加入している業者は保険金で清算がされますので、残りの業者についてのみ債務整理を検討すればよいということになります。

まとめ

以上、借金の相続時の対処法についてご説明いたしましたが、いかがだったでしょうか。

借金や相続の問題は、いずれも対処を間違えると大変なことになります。期限が定められている手続きもありますので、なるべく早めに専門家にご相談いただければと思います。

松谷司法書士事務所では、相続と借金の問題に力を入れていますので、ご不明な点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

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