訴状が送られてきたときに受け取り拒否をしたら、裁判を進行させずに済むのでしょうか?
以下で、受け取り拒否した場合と居留守を使う場合、所在不明な場合の3パターンに場合を分けて見てみましょう。
「受取拒否します」と言った場合
訴状が送られてきたときに債務者が「受けとりません」と言って受取拒否した場合、配達員は、郵便をその場に置いて行き、それによって「送達」できた取扱いとなります。この送達方法を「差置送達」と言います。
一般的な書留郵便なら「受取拒否」できますが、訴状の場合には許されないのです。
居留守、不在の場合
郵便が届いたときに居留守を使ったり不在にしていたりすると、郵便局員は不在票をポストに投函し、いったん郵便を持ち戻り、保管期限内に何度か郵便物を再送に来ます。再送時にも不在であれば、郵便物はいったん裁判所に持ち戻されます。
ただ、それによって裁判をあきらめてもらえるわけではありません。
今度は休日を指定して訴状を送られたり、被告の勤務先への送達が試みられたりします。会社の人が受けとってしまったら、その時点で送達ができたことになります。
勤務先でも受けとらなかった場合には、裁判所は「付郵便送達」という方法で訴状を送ります。付郵便送達とは、裁判所が書留郵便で被告に訴状等の書類を送達する方法です。
付郵便送達の場合、「発送と同時」に被告に訴状が送達されたことになってしまうので、その後受取拒否をしても意味はなく、裁判が始まってしまいます。
所在不明な場合
債務者が所在不明な場合には「公示送達」という方法で訴状が送達されます。
公示送達とは、裁判所の掲示板のような場所に「今裁判が起こっています」という内容の書面を掲示することにより、訴状を送達した扱いにする方法です。
公示送達されたら、債務者がまったく知らない間に裁判を進められて、支払い命令が出てしまいます。すると、いきなり債権者から強制執行(差押え)をされてしまう可能性もあります。
以上のように、債権者から裁判を起こされたとき、「訴状を受けとらなかったら逃げられる」ものではありません。したがって、訴状をきっちり受けとった上で、適切な対応をとる必要があります。