家族に知られずに債務整理できる?

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家族に内緒で債務整理したい場合

司法書士松谷の写真

家族に内緒で債務整理をしたいと希望される方は、非常に多いです。

私の事務所でも、債務整理のご相談の最初に、ご家族に知られたくないかどうかは、確認します。そして、ご希望があれば、郵便物から司法書士の肩書や事務所名を削除し、個人名での郵送にすることで、ご家族に怪しまれないように工夫をします。

このページでは、「任意整理」「自己破産や個人再生」の手続き中、どんな場合に家族にバレるのか、なるべくバレにくくするためにはどうすればいいのかについて、司法書士がご説明してまいります。

任意整理は家族にバレる?

任意整理というのは、司法書士が債権者と代理交渉し、将来利息のカットや長期分割払いにして毎月の支払額を下げるなどの和解(債権者との合意)をするという手続きです。

任意整理の手続きは、自己破産や個人再生よりも、ご家族に内緒で進めていきやすい(バレにくい)債務整理手続きですが、下記のようなケースで、家族にバレてしまうことあります。

生活費をカード払い以外の方法に変更することでバレる

任意整理をするときには、それまでクレジットカード決済(カード払い)をしていた生活費について、別の方法に変えていただく必要があります。

任意整理をする会社のカードでカード払いを継続すると、そのカードを使い続けて売上が上がり続けるということになり、和解ができなくなってしまうためです。

したがって、いままでカード払いしていたもの、たとえば携帯料金をカード払いしていたのに、それを突然、口座引落しやコンビニ払いに変えたことにより、ご家族に怪しまれる可能性があります。

家族に貸しているクレジットカードが止まってバレる

ご自身の名義のクレジットカードを家族に渡していて、家族が使っていることはあると思いますが、そのような場合には、任意整理をすることで家族に渡しているカードも止まる可能性が高いです。

よく、「止まるのは、任意整理をした会社のカードだけだろう」と思っておられる方がおられますが、それは違います。

任意整理から除外したカードであっても、そのカード会社がカードの更新のときなどに顧客の信用調査を行うことで信用事故の発生を知り、カードが止まる可能性が高いのです。

したがって、家族にカードを渡している場合、ご家族に渡しているカードが(任意整理から除外していても)止まってしまいますので、ご家族に「どうしていきなりカードが使えなくなったのか」と、怪しまれてしまうかもしれません。

ご自身のカードを渡している場合のほか、ご家族が「家族カード」を使っておられる場合にも、そのカードが止まることでご家族に怪しまれるかもしれません。

家族カードというのは、カード会社と契約している方の家族の方が使えるカードですが、契約者の信用によって使えるカードですので、契約者が任意整理すれば、家族カードも使えなくなります。

司法書士松谷のコメント
ご家族に渡しているカードや家族カードについては、事前に回収しておかないと、いきなりカードが止まって怪しまれる原因になります。

信用ブラックとなりローンの審査に落ちてバレる

無事に任意整理の手続きが終わった場合にも、「異動」などの信用事故の情報は、多くの場合、完済してから5年間残るため、将来、家や車を購入しようということになったときに、住宅ローンや車のローンの審査に落ちてしまったり、家族から保証人になってほしいと頼まれたときに、審査落ちしてしまって、怪しまれてしまうことがありえます。

信用情報に登録される期間について、詳しくはこちら

ただし、審査落ちしたときに、なぜ審査落ちしたかという理由は通常教えてもらえませんので、はっきりと「過去に任意整理をした」ということがバレてしまうというわけではありません。

家に訴状が届いて家族にバレる

ご自宅に届いた訴状を家族に見られることで、債務があることや任意整理していることが家族に発覚してしまうことがあります。 通常は、訴訟を起こされないように計画を立てますので、計画通りに任意整理が進めば訴訟を起こされることはほとんどないのですが、計画通りに進まない場合、たとえば費用のご入金がなかなか進まず、和解交渉が進められない場合などには、訴訟を起こされてしまうことがあります。

訴訟を起こされると、訴状が送られてくる場所は司法書士事務所ではなくご本人のご自宅となります。

ご本人が不在で受け取られなくても、ポストに不在票が入ります。不在票には裁判所名が入っており、目立ちますので、ご家族に「なぜ裁判所から郵便が来ているのか」と問い詰められて、バレてしまうことがありえます。

司法書士松谷のコメント
なるべく早めにご相談に来ていただくこと、手続き開始後はできるだけ早く支払いができる状況を整えていただくことで、訴訟を起こされるリスクはかなり低くできます。

司法書士が辞任して督促が再開してバレる

司法書士に任意整理をご依頼いただいたあとは、司法書士から債権者に受任通知が発送され、債権者の督促は止まります。

しかし、司法書士費用の未払いがあったり、司法書士からの連絡に対して折返しのご連絡がないなど、長期間連絡が取れない状態が続くようであれば、司法書士は任意整理の手続きを中止し、辞任(手続き中止)することになります。

司法書士から辞任の通知を受け取った債権者は、取り立てを再開します。携帯に連絡しても連絡がつかない場合には、会社やご自宅に電話をしたり、督促状を送ったりするかもしれません。

そして、ご家族が債権者からの督促状を見れば、中身を見なくてもローンやクレジット関係の書類と気がつくかもしれません。 このようにして、ご家族に債務整理の事実がバレてしまうことがあります。

このような事態を避けるためには、債務整理ご依頼後に司法書士との連絡が途絶えることのないよう、事務所の電話番号を登録して、事務所からの電話に気がついたら、早めに折返しのご連絡をいただければと思います。

司法書士松谷のコメント
辞任になってしまうと、ご依頼される前よりもさらに事態が悪化してしまいます。
携帯の着信やメール、お手紙など、見逃さないようにご注意ください。

自己破産や個人再生は家族にバレる?

自己破産や個人再生は、任意整理よりも、家族に内緒ですすめるのが難しいです。

まず、上記でご説明した、「任意整理が家族にバレるケース」はほとんどそのまま、「自己破産や個人再生が家族にバレるケース」となります。

そして、自己破産や個人再生にはこれらのケース以外にも、「家族に内緒ですすめることが難しいケース」がいくつかあります。

家族と一体家計である場合、家族に内緒にするのは難しい

まず、同居している家族がいて、その家族と一体の家計となっている場合、その家族に内緒で自己破産や個人再生を進めるのは、難しいです(同居していない家族であれば、内緒にすることは原則可能です)。

これは破産申立をすると裁判所から、家計が一体となっている家族について、家計に関する各種資料の提出を求められるためです。

たとえば、家計の状況を説明するため、裁判所に給与明細や収入証明、通帳などの資料の提出が必要となりますが、これらの資料はご本人分だけでなく、家族分も必要とされます。

これらの、家族について必要な資料をすべて本人に頼むことなく持ち出せるなら、内緒で手続きすることも不可能ではありませんが、通常は難しい場合が多いと思います。

したがって、同居している家族がいて、その家族と一体の家計となっている場合には、原則として、家族に内緒で自己破産等の手続きを進めるのは難しいということになります。

「それでも、どうしても家族に内緒で自己破産を進めたい」という場合には、必ずできるというわけではないのですが、できる可能性のある方法があります。

それは、「同居家族と家計を切り離し、同一家計ではない状態にする」という方法です。

この方法によって家計を切り離し、同一家計ではない状態になったご家族については、上記の、家族について裁判所に提出する資料が、不要になります。そうすると、家族の協力なしに手続きができることになり、家族に内緒で手続きができることになります。

「家計を切り離して同一家計ではない状態になる」というのは、同居家族から家計を独立させ、それぞれが独立の家計となり、それぞれ完全に財布が別になっている状態にするということです。

もう少し具体的に言うと、「家賃や食費・光熱費は赤の他人同士のルームシェアの場合のように精算を行っている」「食材や日用品などの共同購入をしていない」「お互いがお互いを扶養していない」「税務上の扶養の関係もない」状態です。

このような状態なら、同居家族であっても「家計は別である」と主張できます。

ただし、この「同一家計かどうか」という判断は、裁判官がすることになります。

したがって、同居家族と家計が一体ではない、別家計であると主張しても、裁判官によって一体の家計と判断されると、同居家族の給与明細や収入証明、通帳などの資料の提出を指示されることがあります。

そうなると、「家族に内緒なので資料が提出できません」というのは裁判所に認められないため、どうしても資料の提出ができなければ、手続きを断念せざるを得ないことになります。

したがって、家計を切り離して同一家計ではない状態とすることによって家族に内緒で手続きを進めるのは、うまくいく可能性が高い方法ではありますが、最悪、家族にバレたらすべて家族にお話しして協力を求めるという覚悟を持って、進める必要があります。

家族からの借入れがある場合、家族に内緒にできない

次に、家族からの借金がある場合の自己破産や個人再生については、家族に内緒にできません。

自己破産や個人再生というのは、任意整理と違って、一部の債権者を除外することが認められませんので、友人や家族などの個人的な借り入れも、他の債権者と平等に債権者として扱わなければいけません。

これを、「家族だけは返済しよう」と思って、不平等な返済をしてしまうと、免責(債務の免除)が認められなくなる恐れがあります。

自己破産の免責不許可事由について詳しくはこちら

したがって、家族からの借金がある場合、家族からの借金だけを返済することはできず、家族を債権者一覧表に記載する必要があるということになります。

そして、家族を債権者一覧表に記載すると、裁判所から、家族あてに通知が送られてくることになります。これは、破産(再生)申立をすると裁判所が、債権者全員に対して「破産(再生)手続開始决定」を通知するためです。

したがって、この裁判所からの通知が届くことで、家族に自己破産や個人再生の事実を知られることになります。

ただし、家族が借金の返済を免除してくれる場合には、債権者に入れる必要がなくなり、裁判所からの通知が送られてくることもなくなります。自己破産することを言わずに家族に借金を免除してもらうことは難しいですが、それができれば、家族に内緒で自己破産をすることも可能になります。

司法書士松谷のコメント
別の親族からの援助で、内緒にしたい家族からの借金を完済するという方法もあります。ただし、別の親族からの「借金」ではなく、「援助」である必要があります。

家族が保証人になっている場合、家族に内緒にできない

最後に、家族に保証人になってもらっている債務がある場合にも、自己破産や個人再生については、家族に内緒にできません。

保証人は、お金を借りた人が返済できない場合に、代わりに債権者に支払いをする義務を負っています。そして代わりに支払いをすれば、お金を借りた人に、「代わりに支払いをしたお金を返して欲しい」と請求ができます。

この、「代わりに支払いをしたお金を返して欲しい」と請求する権利のことを、「求償権」といいます。

自己破産申立をする方が家族に保証人になってもらっていると、保証人である家族は、自己破産をする方に対して、「将来の求償権」を持っているということになります。

そして、破産申立書の添付書類である債権者一覧表に記載するべき「債権者」には、「将来の求償権をもっている債権者」も含まれますので、保証人である家族は、債権者一覧表に記載する必要のある債権者であるということになります。

したがって、家族からの借金がある場合と同様に、家族が保証人になっている場合にも、家族を債権者一覧表に記載する必要があり、家族を債権者一覧表に記載すると、裁判所から、家族あてに破産手続開始決定が通知されるため、家族に自己破産の事実を知られることになります。

まとめ

以上、債務整理のご家族への影響や、ご家族に知られることなく債務整理の手続きができるかについて、ご説明いたしました。

当事務所にご依頼いただいた方の中にも、「夫にバレたら離婚されるから絶対に相談できない」とか、「借金していることが両親にバレたら家を追い出されるから絶対にバレたくない」などと考えられ、ご家族に内緒での手続きを希望される方は、大勢おられます。

しかし中には、思い切ってご家族に相談してみられた方もおられますが、そのようなケースでは、ご本人の心配されたようにはならず、ご家族が親身になって今後の最善の解決法をいっしょに考えていただけたということも多かったように思います。

現在、借金に正面から向き合って、専門家にも相談をしており、解決は不可能ではないと言われている、ということがわかれば、ご家族の心配も軽くなり、思っていたほど強い拒否反応にはならないかもしれません。

ご家族に内緒にせず、すべてお話しして協力してもらうという選択肢についても、最初から排除せず、一度ご検討いただければと思います。

債務整理のご家族への影響について、何かご不明な点があれば、松谷司法書士事務所までお問い合わせください。

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