消滅時効期間

借金の消滅時効期間

借金の消滅時効期間は5年か10年か

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借金は、弁済期又は最後の返済から一定の期間が経過すると消滅時効が成立します。
2020年(令和2年)3月31日以前に成立した借金について、その期間は、貸主か借主のいずれかが商法上の商人であれば、商事債権(商法522条)として5年となり、いずれも商人でない場合には一般的な債権として10年(改正前民法167条)となります。
したがって、消滅時効期間を判断する際には、貸主や借主が商人であるかどうかがポイントとなります。

※ただし、2020年(令和2年)4月1日以降に成立した債権については、商事債権であるかどうかにかかわらず、消滅時効期間は原則5年となります(商事債権の時効期間を5年間と定めている商法522条の規定が削除されたため)。消滅時効に関する民法改正の内容について詳しくは、このページの下の方でご説明しています。

債権の種類による消滅時効期間の違い

2020年(令和2年)3月31日以前に成立した債権について、債権の種類による時効期間の違いは、以下のとおりです。

貸金業者・消費者金融が貸主である貸金

貸主が消費者金融などの貸金業者である場合、貸金業者が会社なのか個人なのかで時効期間は異なります。貸金業者が会社である場合の時効期間は5年、個人である場合の時効期間は、10年になります。
ただし、個人である貸金業者が貸主の場合であっても、商人の営業のための貸金については、商事債権となりますので、時効期間は5年となります。たとえば、個人事業主や会社が個人である貸金業者から事業資金を借り入れたのであれば、貸金債権の時効期間は5年です。

信用金庫が貸主である貸金

最高裁昭和63年10月18日判決において、「信用金庫の行う業務は営利を目的とするものではないというべきであるから、信用金庫は商法上の商人には当たらないと解するのが相当である」と判示されており、信用金庫は、商人ではないとされています。したがって、信用金庫が貸主である貸金の時効期間は、10年になります。
ただし、信用金庫が貸主の場合であっても、商人である会員の営業のための貸金については、商事債権となりますので、時効期間は5年となります。たとえば、個人事業主や会社が信用金庫から事業資金を借り入れたのであれば、貸金債権の時効期間は5年です。

銀行が貸主である貸金

銀行は会社であり商人ですから、銀行が貸主である貸金の時効期間は5年になります。

住宅金融支援機構(住宅金融公庫)の住宅ローン

住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)は、商人ではありませんので、住宅金融支援機構の住宅ローンの時効期間は、10年になります。

保証協会の求償権

保証協会が主債務者に代わって債務の弁済をした場合、主債務者に対して求償権を取得することになります。そして、求償債権の消滅時効は、保証協会が代位弁済をした時点から進行します。
保証協会は商人ではありません(最高裁昭和60年2月12日判決)ので、保証協会の求償権の時効期間は、通常の債権の時間と同様に10年となります。ただし、保証協会が、商人である主債務者の委託に基づいて保証したときは、求償権は商事債権となり(最高裁昭42年10月6日判決)、時効期間は5年となります。
たとえば、保証協会が、個人事業主や会社の委託に基づいて保証したときは、求償権の時効期間は5年です。

判決が確定した場合の時効期間の伸長について

債権者が債務の弁済を求める訴訟を提起したときは、その時点で消滅時効が更新(中断)されます。
消滅時効の更新(中断)について詳しくはこちら

そして、判決が確定して訴訟が終了したときから、再度時効が進行を始めますが、民法169条に「確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、十年より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする」と規定されていますので、時効期間は5年である債務についても、判決が確定してから10年が経過しないと、消滅時効は成立しないということになります(改正前の民法174条の2と同旨。改正の前後で内容は変更ありません)。

判決が確定して時効期間が10年に延びて、そのあとにまた少額の弁済をした(債務承認となり、この時点で時効更新(中断)となります)場合、時効が成立するのは、弁済から5年後か10年後かという問題があります。

いったん10年に延びた時効期間が、更新(中断)後はまた元の時効期間である5年に戻るのでしょうか。

この点については、実は最高裁の判例はなく、争いがあるのですが、大阪地裁平成10年9月24日判決では、いったん10年に延びた時効期間は、更新(中断)後は元の時効期間には戻らず10年のままであると判示しました。ほかにもいくつか、元の時効期間には戻らず10年のままであるとした判例があります。

したがって、判決等の確定からさらに10年が経過しないと時効は成立しないと考えるべきでしょう。

債務者が自己破産や個人再生をした場合の時効期間の伸長について

2020年(令和2年)3月31日以前に成立した債権について、債務者が自己破産した場合、時効期間が10年に伸長される場合とされない場合があります。

時効期間が10年に伸長されるのは、破産管財人が債権調査を行い、裁判所書記官の作成する破産債権者表が作成された場合です。

破産法124条3項に、破産債権者表の記載は確定債権と同一の効力があり、時効期間が10年に延長されると規定されているためです。

これに対して、破産管財人の選任されない同時廃止事件となった場合には、時効期間が10年に伸長されることはありません。
同時廃止事件においては、破産管財人による債権調査は行われず、破産債権者表も作成されないためです。

そして、2020年(令和2年)3月31日以前に成立した債権について、債務者が民事再生をした場合も、その手続きが通常の民事再生なのか、個人の民事再生(個人再生)なのかによって、時効期間が10年に伸長される場合とされない場合に別れます。

通常の民事再生の場合、確定した再生債権については、再生債権者表の記載は確定債権と同一の効力があり、時効期間が10年に延長されるという規定(民事再生法180条2項)がありますので、時効期間は10年に伸長されます。

しかし、個人再生手続の場合には、この民事再生法180条2項の規定が「適用除外」となっており(民事再生法238条)、元々5年の時効期間の債権については、時効期間が10年に延長されることはなく、5年のままとなります。

民法改正による時効期間への影響について

2020年(令和2年)3月31日以前に成立した債権については、上記のように、貸主が誰なのかによって、時効期間が5年の場合と10年の場合とがありました。

これに対し、2020年(令和2年)4月1日以降に成立した債権については、改正民法が適用となり、貸主が誰であるかに関わらず、時効期間は原則5年に短縮されています。

もう少し詳しく申し上げますと、改正前民法の「権利を行使できるときから10年」という起算点に加えて「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき」という起算点が、改正により新たに設けられました(民法166条)。

借金の貸主は、契約に基づいて債権を取得し、契約のときに返済期限の設定をし、返済期限が経過すれば権利を行使できることを知っているのが通常ですので、借金の消滅時効の期間は、「債権者が権利を行使することができることを知った時」である、契約で定めた返済期限から5年ということになります。

改正後に成立した債権は、貸主が誰であっても消滅時効期間が5年となるため、改正以前には時効期間が10年となっていた住宅金融支援機構や信用金庫等の債権であっても、改正後に成立したものについては、消滅時効期間は5年となります。

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