おまとめローンのメリットとしては、「借り入れ先がひとつにまとまることで毎月の返済の管理が楽になる」「現状よりも金利が安くなる」という点が挙げられます。
しかし、当事務所に来られる方の中には、「おまとめローンを利用したにも関わらず、その後また、おまとめローンで完済した他のクレジットカードで借りてしまった」という方がたくさんおられます。
なぜ、おまとめローンで多重債務の解決ができないのかについては、以下のような理由が考えられます。おまとめローンには、いくつか気が付きにくいデメリットがあるのです。
①金利がそれほど安くならない可能性
デメリットの一つ目は、それほど金利が安くならないことが多いという点が挙げられます。確かに、消費者金融などから借り入れをしている場合に銀行のおまとめローンで借り換えができれば、金利は下がると思います。しかし、実はあまり安くないということが結構あります。
消費者金融等と比較すると安くみえるため、安いと勘違いしてしまうことが多いのです。当事務所に相談に来られた方の中には、利息制限法の上限に近い金利でおまとめローンの契約をされていたケースもありました。
金融機関は、貸し倒れリスクの高い債務者には、高い金利で貸付をします。現在、多重債務の状態になっている債務者は、貸し倒れリスクが高いと判断されることが多いため、結局金利は高くなってしまうことが多いのです。
②減らせる借金を減らさずに返済してしまう可能性
おまとめローンをすると、融資金で消費者金融等の現在の借金を返済します。その際通常、利息制限法による引き直し計算はされません。これも、デメリットのひとつです。
長期間、いわゆるグレーゾーン金利で取引を継続していた場合、利息制限法による引き直し計算によって借金を減らしたり、逆に過払い金を取り戻したりすることが出来る場合があります。
にもかかわらず、おまとめをする際には、引き直しをせずにグレーゾーン金利に基づいた計算での残額を全額支払ってしまうため、減額や過払い金返還の機会を失ってしまうことがあるのです。
完済後に過払い金返還請求をすることはできるのですが、手続きを司法書士や弁護士に依頼すれば、費用がかかります。完済前には発生しなかった「成功報酬」というものも発生することになります。また、最近では武富士のように、過払い請求の相手業者が倒産してしまうことも多く、そうなると回収が不能になります。
③状況がより悪化してしまう可能性
おまとめローンの最大のデメリットは、保証人を要求されて他人をまきこんでしまったり、公正証書を作成させられたり、所有不動産を担保に入れられてしまったりなど、状況の悪化を伴うことが多いということです。「おまとめローンを申し込む前に、相談に来てくれていたら良かったのに・・・」と思うこともあります。
もちろん会社によって条件は異なりますので、条件の良いおまとめローンで助かったという例もないわけではないと思いますが、あまり聞いたことがありません。