給与差し押さえを受けるまでの流れと対処方法

給与差し押さえを受けるまでの流れと対処方法

給与の差し押さえへの対処

司法書士松谷の写真

「カードローンの督促を無視していたら、裁判所から呼び出し状が届いた!」
「給料を差し押さえられて、手取額が減ってしまった」
ローンやクレジットカードの返済を滞納していると、裁判を起こされて、最終的に給与差し押さえを受けてしまうことがあります。そのようなことになったら、生活もままなりません。
給与差し押さえは、どのような流れで行われるのか、また、どのように対処したら良いのでしょうか?
今回は、給与差し押さえの流れや差し押さえられる金額、対処方法をご紹介します。

給与差し押さえまでの流れと差し押さえられる金額

まず、ローンやクレジットカードの返済を滞納した場合にどのような流れで差し押さえが始まるのか、以下でその流れをご説明します。

給与差し押さえが行われるまでの流れ

カードローンやサラ金などの借金返済を滞納すると、まずは債権者(借入先)から支払いの督促が行われます。
まずは電話がかかってきて支払いを求められることが多いです。電話に出なかったり話をしても支払いに応じなかったりすると、自宅宛に催促の郵便が届きます。
電話や郵便による督促を無視していると、「内容証明郵便」で借金残額の一括請求書が届きます。
内容証明郵便は、一般の郵便とは異なる特殊な書式になっていて、受取人に直接手渡しされるタイプの郵便です。
書面には「残金と遅延損害金を一括払いするように」ということと「支払いがない場合には、民事裁判や強制執行をします」ということが書かれているケースが多いです。
一括請求書も無視して支払いをしないで放置していると、債権者から「裁判(貸金請求訴訟)」「支払督促」を申し立てられて、裁判所から「特別送達」という郵便で書類が届きます。
裁判を無視していると、債務残額と遅延損害金の全額の支払い命令が出て、判決が下されます。支払督促を無視した場合には、債権者の主張が認められて「仮執行宣言」が発布されます。
すると、債権者は「判決書」や「仮執行宣言」によって、債務者の財産や給料を差し押さえられる状態になります。
債権者が裁判所に、実際に給与差し押さえの申立をすると、裁判所がそれを認めて債務者の給料や預貯金などの財産が差し押さえられてしまいます。

差押を受ける給料の範囲

給与差し押さえを受けるとき、給料の全額をとられるわけではありません。
給料は労働者にとって生活の糧になるものだから、生活に必要な分は残されるのです。
差押の対象になるのは、給与額から税金や健康保険料などを引いた手取り額の4分の1の金額で、残り4分の3は債務者に支払われます。
ただし、4分の3の金額が33万円を超える場合には、超える分の全額が差押の対象となります。
いったん給与差し押さえが始まると、借金と遅延損害金を全額支払うまで毎月差押が続いてしまいます。ボーナス月にはボーナスも差押の対象になります。
また、差し押さえが起こったら裁判所や債権者から会社に通知が来るので、会社にも借金滞納や差押を受けていることを知られてしまいます。
手取り額が減るので、家族にも差押のことを知られるでしょう。家族に秘密で借金している方にとっては重大な問題となります。

個人再生で給与差し押さえを止められる

では、債務全額を払うまで、差し押さえは止められないのでしょうか。
じつは、債務整理の中でも「個人再生」または「自己破産」をすることにより、給与差し押さえを止めることができます。
以下で、その具体的な方法をご紹介します。

個人再生で給与差し押さえを中止する

個人再生を申し立てて「個人再生手続き開始決定」が出ると、それまでに行われていた強制執行が中止されます。
強制執行が中止されると、会社から債権者へ給料の一部が支払われることがなくなります。
ただし、この時点では、差押分の給料が債務者に支払われることはありません。給料は、会社がプールするか供託されることになります。
プールされていた差押分の給料は、個人再生の手続きが終了したときに、まとめて受け取ることができます。供託された場合には、手続き終了後に供託金を取り戻すことができます。
個人再生の手続きが終了するのは、再生計画案の認可決定が確定したときです。個人再生の手続きを申し立ててから、だいたい6~7か月程度かかります。

給与差し押さえを取り消すと、全額を受け取ることができる(かなり認められにくい)

では、再生計画案の認可決定が確定する前に給料を全額受け取るにはどうしたらいいのでしょうか。
個人再生手続き開始決定後、手続き終了前にどうしても給料を全額受け取りたい場合には、「強制執行取消の申立」をして、裁判所に給与差し押さえを取り消してもらう必要があります。
ただし、どのようなケースでも取消が認められるわけではありません。差し押さえられた状態では債務者が著しく困窮し、生活していくことができないなどの事情が必要です。
差押を受けてもある程度の余裕があるならば、先に取り消してもらう事は困難です。
その場合には、個人再生の手続きが終了するまで、給与受け取りを待つ必要があります。

自己破産で給与差し押さえを止められる

自己破産によっても給与差し押さえを止めることができます。
自己破産の場合には、同時廃止か管財事件かによって、給与差し押さえの取扱いが異なります。

同時廃止の場合

「同時廃止って何?」と思われるかもしれません。
同時廃止とは、自己破産の中でも、債務者の財産が少ない場合や、債務者に重大な免責不許可事由がない場合に採用される自己破産手続きのことです。
自己破産には「同時廃止」と「管財事件」という2種類の手続きがあり、破産手続きが始まるときに、裁判所によってどちらの方法で進めるかが選択されます。
同時廃止の場合には、破産手続き開始決定があると、個人再生と同様に「強制執行が中止」されます。そこで、毎月の給与から差押分が債権者に支払われることはなくなりますが、その分は会社がプールするか、供託されることになります。
そして、自己破産の手続きを進めて「免責決定」が確定したときに、プールされていた差押分をまとめて受け取ることができます。
同時廃止の場合、破産手続き開始決定から免責決定が確定するまで2~3か月程度なので、2、3回分の給与は天引きされることになります。

管財事件の場合

管財事件とは、自己破産の中でも、財産がある程度以上ある人や重大な免責不許可事由のある人が破産するときに採用される、複雑な手続きです。だいたい、総財産額が99万円を超える場合に管財事件を選択されます。
自己破産が管財事件になると「破産管財人」という人が選任されます。破産管財人は、債務者の財産を現金化して債権者に配当していく立場です。
管財事件の場合、破産手続き開始決定があると、同時に強制執行が失効します。つまり、破産手続き開始決定と同時に給与差し押さえの効果が失われるのです。
この場合、個人再生や同時廃止のような中止ではなく失効なので、差押の効果が完全に失われ、その後差押が行われることはありません。
給料が会社にプールされたり供託されたりすることはなく、すぐに債務者が全額受け取れるようになります。必要な手続きは破産管財人が行うので、破産者が特に何か手続きをする必要もありません。
また、破産手続き中に支払われる給料が新たに差し押さえられることもありません。

個人再生・自己破産後は差押を受けなくなる

個人再生で個人再生手続き開始決定、自己破産で破産手続き開始決定が下りると、その後、債権者は新たな差押の申立をすることができなくなります。
「債権者から裁判をされて判決が出てしまい、いつ差押をされてもおかしくない…」という状態であれば、早めにこれらの債務整理手続きをすべきです。
そうすると、差押のおそれがなくなり、ひとまず安心して生活ができるようになるためです。
「借金を滞納して債権者から裁判すると言われている」
「すでに裁判を起こされて判決が出てしまった」
「実際に給料差押えをされて困っている」
このような状況であれば、司法書士が債務整理によって解決いたしますので、お早めにご相談下さい。

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