個人再生の住宅ローン特別条項

住宅ローンの返済に困ったら

最近、給与やボーナスが減額され、住宅ローンが支払えないというご相談が増えています。 特に、住宅ローンのボーナス払いがある場合にボーナスがカットされると、返済は非常に厳しくなります。 住宅ローン返済が難しくなり、消費者金融等から借り入れをされて、どちらも返済ができなくなって相談に来られるというのが、典型的なケースです。

このような場合、仮に自己破産により債務を処理するということになると、家が競売にかかり、引越しを余儀なくされます。これを避けて、住宅を手放さずに住宅ローン以外の債務についてのみ整理することが可能となるのが、「住宅資金特別条項を定める個人再生手続き」です。 その具体的な内容をご説明します。

住宅資金特別条項を定める個人再生手続き

住宅資金特別条項は、住宅ローン特則などとも呼ばれる、個人再生の特則です。住宅ローンについて特別の定めをした再生計画が認可されると、住宅ローン以外の債務については毎月の返済額が下がりますので、住宅ローンの支払いが楽になります。
ただし、債務がカットされるのは、原則として住宅ローン以外の借り入れ残高についてのみであり、住宅ローンの残高や毎月の住宅ローン返済額は、今までどおりである点にご注意ください。

住宅資金特別条項を使うことができる条件

住宅資金特別条項を使うには、下記の条件を満たしていないといけません。

  1. 01 住宅の建設もしくは購入に必要な資金で、分割払いの定めのある債権であること

    住宅を建築もしくは購入するための、分割払いの住宅ローンであることが必要です。大半の住宅ローンがこれに該当すると思われます。住宅ローンの借り換えがあったとしても、借り換え後の債権も住宅ローンですから、問題ありません。

    いわゆる諸費用ローンについては、その使途と額から、住宅資金特別条項の利用の可否を総合的に判断されます。

    つまり、一口に諸費用ローンと言っても、登記にかかる登録免許税などの税金や不動産仲介手数料などのように、住宅購入に不可欠な費用にあてられる場合もあれば、家具や家電の購入のような、住宅購入に不可欠とは言えない費用にあてられる場合もあります。使途が前者であれば、住宅購入資金特別条項の利用は認められる可能性が高く、後者であれば低くなります。

    最終的には、裁判所が、諸費用ローンの実際の使途がどのようなものであったのか、金額が住宅ローンの額と比較して大きいか小さいか、等から総合的に判断し、住宅資金特別条項の利用の可否が決まるということになります(参考書籍「はい6民です お答えします(倒産実務Q&A)」Q134)。

     

  2. 02 住宅に、住宅ローン債権(または保証会社の求償債権)を被担保債権とする抵当権が設定されていること

    住宅ローンを組んだとしても、建物に銀行や保証会社の抵当権が設定されていない場合(無担保の場合)には、住宅資金特別条項は使えません。

    また、住宅ローンを担保するために設定されているのが、普通の抵当権ではなく、根抵当権であるということがあります。このような場合であっても、根抵当権によって担保される債権(被担保債権)が住宅ローンのみであれば、住宅資金特別条項を使うことができます。ただ、根抵当権の被担保債権が住宅ローンのみであることについて、根抵当権者が作成した証明書か必要となる場合があります(参考書籍「はい6民です お答えします(倒産実務Q&A)」Q134)。

     

  3. 03 不動産に、住宅ローン以外の抵当権設定登記や差押登記がないこと

    住宅ローン債権者が、住宅ローンの抵当権を設定するときに、住宅ローン以外の債権(カードローン等)を担保するための抵当権を第2順位で設定していることがありますが、このようなケースでは、住宅資金特別条項は使えません。

    第2順位にカードローンなどの抵当権が設定されている場合、カードローンの債権者が抵当権を実行してしまい、結局住宅を失うことが考えられ、住宅資金特別条項を認めた意味がなくなってしまうことから、このようなケースでは、住宅資金特別条項は使えないのです。

    また、住宅に対して公租公課(税金)の差押登記がされている場合にも、住宅資金特別条項は使えないのが原則ですが、滞納公租公課の支払方法につき、どのように払っていくのかと言う分納方法の合意ができており、合意どおりに納付を続ければ公売の手続きには進まないというのであれば、住宅資金特別条項を定めた再生計画は認可されることも可能になります(参考書籍「はい6民です お答えします(倒産実務Q&A)」Q121)。

     

  4. 04 本人が所有している住宅であること

    再生申立の時点で、本人が所有している住宅である必要があります。

    家が建設された時点では親が所有していて、後に相続により再生債務者が取得していた建物であっても、再生申立の時点で本人が所有している住宅と言えますので、住宅資金特別条項は使えます(参考書籍「個人再生の実務QandA 100問」Q72)。

    また、再生債務者が単独で住宅を所有している場合だけでなく、誰かと共有している場合も含みます。たとえば、夫と妻が各2分の1の割合で共有している不動産について、夫の抵当権が設定してあれば、夫が個人再生をするときに、住宅資金特別条項を使うことができるということになります(参考書籍「個人再生の実務QandA 100問」Q78)。

     

  5. 05 本人が居住の用に供する住宅であること

    本人が住んでいる(または住む予定である)住宅である必要があります。別荘やセカンドハウスの場合には、住宅資金特別条項は使えません。

    住む予定であれば、現在住んでいる必要はありませんので、単身赴任中の方でも、いずれは自宅に戻る予定であれば、住宅資金特別条項は使えます(参考書籍「個人再生の実務QandA 100問」Q72)。

     

  6. 06 保証会社による代位弁済後、6ヶ月を経過していないこと

    住宅ローンが滞納となると、保証会社が住宅ローン債権者に弁済を行います。これを代位弁済といいます。代位弁済後、6ヶ月を経過すると、住宅資金特別条項は使えません。

     

なるべく早めにご相談ください

住宅ローンの返済が長期間滞納になっていると、住宅を守ることができないことがあります。
なるべく早く司法書士にご相談下さい。
不明な点はメールか電話でお問い合わせください。

個人再生のことがよくわかる関連記事

住宅ローン特別条項が利用できるか、
ご不明な点があれば、当事務所にご相談下さい。
丁寧にご説明致します!

0120-974-316 受付時間9:00~20:00(土日・祝日除く)

メールでのご相談予約

ページの先頭へ