債務整理するとスマホが使えなくなる?

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債務整理の携帯・スマホの契約への影響

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債務整理をすると携帯電話やスマホがどうなるのか心配される方が多いと思います。

このページでは、下記の3点についてのご説明を中心に、債務整理の携帯・スマホの契約への影響について、司法書士が詳しくご説明いたします。

  1. 1.債務整理するとスマホが使えなくなるのか
  2. 2.債務整理中に別のキャリアへ乗り換えができるか
  3. 3.債務整理後に機種変更ができるか

債務整理するとスマホが使えなくなる?

結論から申し上げますが、債務整理をしても、携帯やスマホが持てなくなるわけではありません。債務整理をしても、携帯・スマホを手放す必要がないケースがほとんどです。

しかし、数は少ないですが、債務整理の内容によっては、携帯会社との通信契約が「強制解約」となることで、スマホが持てなくなることはありえます。

では、どのような内容の債務整理をすると、携帯会社との通信契約が強制解約になってしまうのでしょうか。

それは、通信料金の滞納や、分割払い中の機種代の残債がある状態で債務整理をして、滞納の通信料金や機種代の残債が免除されたり減額された場合です。

通信会社が、言葉は悪いですが「(債務整理によって)料金を踏み倒した方には、もう契約を続けてもらいたくない」と判断すれば、通信契約を強制解約されてしまうことになります。

逆に言うと、債務整理をしても、通信料金等の減免をうけなければ、通信契約を強制解約されることはありません。

したがって、任意整理という手続きの場合には、一部の会社を対象から除外することができますので、携帯会社を任意整理の手続きから除外することで、通信契約の強制解約を回避することが可能です。

これに対して、自己破産や個人再生の場合には、一部の会社を除外することは認められず、携帯会社を含む全債権者について手続きする必要がありますので、通信料金滞納等があると、これが債務整理によって減免されることになり、通信契約が強制解約されるおそれがあります。

「偏頗弁済(へんぱべんさい)」は禁止
通信料金滞納等が問題なら、強制解約を避けるためには、債務整理をする前に資金を作り、滞納分を支払っててしまえばよさそうですが、そうかんたんにはいきません。
一部の債権者だけに優遇して返済をする行為は「偏頗弁済(へんぱべんさい)」といって、破産法で禁止されているからです。
偏頗弁済とされないためには、親族や知り合いなどの「第三者」に支払ってもらうことが考えられます。自分以外の第三者が支払う場合には偏頗弁済にならないからです。
ただし、同居家族など、生計を一にする親族が支払ってしまうと、同じサイフから出たお金で支払ったものとして、ご本人の偏頗弁済と言われる可能性があるので、別居の親族や友人などに支払ってもらえるのがベストです。

以上のとおり、債務整理で滞納通信費等の減免を受けるとスマホの契約が解約となりますので、通信費等の滞納が解消できないけれどもどうしてもスマホは使い続けたいという場合には、次でご紹介するように、契約中の携帯会社との契約をあきらめて、他のキャリアへの乗り換えをするという方法があります。

債務整理中に別のキャリアへ乗り換えができるか

債務整理をすることで契約中の携帯会社との通信契約が強制解約される場合にも、別のキャリアへの乗り換えができれば、携帯やスマホを使い続けることができることになります。

しかし、通信料金が滞納となっているにもかかわらず、別のキャリアと新規契約ができるのかどうか、疑問に思われると思います。

この点については、通信契約解約後の不払いなのか、契約継続中の不払いなのかにより、結論が異なります。

どういうことかというと、通信契約が解約されておらず継続中であるときに料金滞納があっても、他のキャリアとの新規契約時に問題となることはありませんが、通信契約が、強制解約であれ任意解約でれ解約されている状態で料金の滞納があるときには、他のキャリアとの新規契約ができない可能性があります。

これは、「TCA(一般社団法人電気通信事業者協会)」という、携帯やスマホの料金不払いの情報を登録する団体に登録されている不払い情報の共有が原因です。

新規の通信契約が拒絶されるケースは限られており、TCAの不払い情報共有によって、他社に不払いがあることが判明する場合に限られるのですが、TCAの不払い情報の共有により他のキャリアが察知できる不払い情報は、「解約後」の不払い情報に限られるためです(TCAの相談窓口で確認済み)。

上記の結論を整理すると、下記のとおりとなります。

他キャリアと
新規契約できるか
理由
通信契約「継続中」に
通信料金不払いあり
できる 不払いの存在は他キャリアに察知されないため
通信契約「解約後」に
通信料金不払いあり
できない可能性が高い TCAの不払い情報共有により不払いの存在を察知されるため

ただし、ここで「新規契約できる」となっていても、携帯会社の審査の内容は公開されていませんので、何らかの理由で新規契約の審査が通らないことはもちろんあります。この図表は、「他に契約を拒否される事情が一切ない場合に、通信料金の滞納を理由として新規契約が拒否されるかどうか」についての結論をまとめた図表になります。

別のキャリアへの乗り換え時のご注意点

TCAの不払い情報の共有

上記のとおり、通信料金の未払いがあり、すでに強制解約になってしまった場合、「TCAの不払い情報共有」により新規契約ができない可能性が高いです。強制解約ではなく任意に解約済みの場合も同様です。

不払い情報の交換は、TCAの加盟会社間だけで行われているわけではなく、ほとんどの携帯会社間で行われています(不払い者情報の交換をする事業者一覧(TCAのホームページ))が、一部、不払い者情報の交換を行っていない携帯会社もあります(イオンモバイルなど)。

数は少ないですが、これらの不払い社情報の交換を行っていない携帯会社に新規契約の申込みをするのであれば、他に審査否決される理由がなければ、契約できる可能性が高いと思われます。

ナンバーポータビリティ(MNP)の場合

通信料金の未払いがあって他社と新規契約するにあたり、現在使っている電話番号をそのまま使用するためには、「ナンバーポータビリティ(MNP)」の手続きが必要ですが、このMNPの手続きをする場合には、もうひとつハードルがあります。

MNPをするためには、現在契約中の携帯会社から「予約番号」を発行してもらう必要があるのですが、現在契約中の携帯会社の通信料金に未払いがあるのに、この予約番号が発行してもらえるかどうかというハードルです。

現在通信料金が未払いになっているのに、MNPで契約を解約され、他社と新規契約されてしまうと、滞納の通信料金は未払いのままとなってしまう可能性を考慮して、滞納を解消しないと予約番号が発行してもらえない可能性はあります。

どうしてもMNPができない場合には、同じ携帯番号を使うことは諦め、まったく新規に契約をするしかありません。

機種代は分割払いを選択できない

別のキャリアに乗り換えをするにあたり、現在使用中の機種がそのまま使用できない場合には、新たに本体を購入する必要がありますが、その場合、機種代金の支払い方法は、通常、一括払いしかできません。債務整理を開始した段階で信用情報に事故情報が登録されることが多いためです。

したがって、一括払いで本体を購入する資金が用意できない場合には、現在使用中の機種がそのまま使用できる通信キャリアを選んで乗り換えをしなければいけません。

債務整理後に機種変更ができるか

機種変更というのは、携帯やスマホを購入して現在お使いの機種のデータなどを移してくるというだけですから、特に審査などはなく、債務整理中であっても問題なくすることができます。

ただし、新しい携帯やスマホを購入するときに、機種代を分割払いする場合には、携帯会社が分割払いを認めるかどうか、CICという信用情報機関に登録されている情報を確認して審査するため、「延滞」や「異動」などの信用事故の情報が登録されていれば、分割払いは認められない可能性があります。

債務整理の信用情報期間への登録について詳しくはこちら

ただ、債務整理後、いわゆる信用ブラックの状態でも「本体代の分割払いができた」というお話をされていた方が、何人かおられました。おそらく本体代の割賦契約の審査はクレジットカードの審査ほどは厳しくないので、審査を通過することもあるものと思われます。キャリアによっても審査の厳しいところとそうでないところがあるようです。

また、分割払いでの機種変更の場合、新規契約ができるかどうかのご説明の中で出てきたTCAで共有されている「契約解除後に料金不払いのあるお客様の情報」も、審査に使われている可能性があります。

したがって、解約済みの他社に不払いがある場合にも、種変変更時の分割払いが認められない可能性があります。

債務整理中の機種変更時のご注意点

上記のように、債務整理をしても、機種代を分割払いすることができなくなるだけですので、機種代を一括払いするのであれば、債務整理中も機種変更は可能です。ただし、ご注意いただきたいのは、特に自己破産や個人再生のような裁判所が関与する債務整理の手続きの場合、申し立て直前の大きなお買い物については、必要性や価格の相当性を裁判所にチェックされるという点です。
裁判所は、債務が増加した原因が浪費である場合については、自己破産の場合には免責を認めなかったり、個人再生の場合には返済額を上乗せしたりすることがあります。申し立て直前に浪費があると、いままでの債務が増加した原因も浪費と見られやすくなってしまいます。最新のスマホの中には、購入額がその機種代が10万円を超えるような高価なものもあります。このような高価なスマホ等に機種変更する場合には、裁判所にその必要性を説明できない限り、浪費と認定される可能性がありますので、注意が必要です。

まとめ

以上、債務整理の携帯・スマホの契約への影響についてご説明いたましたが、いかがだったでしょうか。

スマホや携帯電話は今や生活必需品という方も多いので、なんとかお手元に残せるよう、工夫して債務整理を行っていますが、どうしても残せない場合には、ご家族名義で契約してもらって貸してもらうなどの対処が必要となる場合もあります。

このページをお読みいただいて、よくわからない点や疑問に思われる点については、お気軽にお問い合わせください。

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