奨学金の返済ができないときの対処法

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奨学金の返済ができなくなったら

奨学金の返済ができなくなった場合の対処法

司法書士松谷の写真

奨学金を利用して進学し、卒業すると一気に多額の奨学金の返済が始まり、支払えなくなってしまう若者が多いことが社会問題になっています。

このページでは、奨学金が返済できなくなったときにどのような債務整理の方法があるのか、また、奨学金を払えない場合の日本学生支援機構の救済制度のご紹介、奨学金の連帯保証人となっている方が債務整理をした場合の奨学生の方への影響などについてご説明しています。

※奨学金には、地方公共団体や各種の財団などが運営主体となるものもありますが、このページで「奨学金」という場合、すべて日本学生支援機構の奨学金を指しています。

奨学金の返済ができなくなった場合の債務整理法

日本学生支援機構は、平成20年11月から全国銀行個人信用情報センターに加盟していますので、奨学金の返済が3ヶ月以上延滞になると、センターに事故の情報が登録され、ローンが組めなくなったり、クレジットカードが使えなくなったりすることになります。

そして、返済が長期間滞ると、訴訟や差し押さえなどをされる可能性がありますが、「債務整理」をすることで、このような事態を回避できる場合があります。

債務整理の方法には任意整理、個人再生、自己破産の3種類がありますが、どのような場合にどのような債務整理の方法が有効となるのか、ご説明してまいります。

奨学金を含む多額の債務がある場合

まずは、奨学金に加え、クレジットカードのやキャッシング、ショッピングリボなどの多額の債務があり、多重債務の状態となっている場合の解決策についてです。

このような状態になった場合、毎月の返済額を下げ、支払いが可能な状態を目指さなければいけません。そのために有効なのは、「任意整理」という債務整理の方法です。

任意整理

任意整理というのは、代理人が債権者と交渉して毎月の返済額を下げたり、将来利息をカットしたりする方法です。

しかし、奨学金債権者である学生支援機構に対して任意整理をするのは、あまりいい方法ではありません。奨学金は利率が低く、毎月の返済額もそれほど高額ではない場合が多く、奨学金を任意整理しても大きなメリットはないからです。

したがって、奨学金自体を任意整理するのではなく、奨学金以外の債務について任意整理をすることで、毎月の全体の返済額を下げ、支払いやすい状態にします。

つまり、たとえば現在クレジットカードの支払いが月に10万円あるものを、任意整理することで月5万円の支払いに下げて、奨学金を正常に払えるようにするということです。

そして、奨学金以外の債務を任意整理するだけでは返済が可能にならない場合には、奨学金自体について返還期限の猶予や減額返還などの制度を利用することで、毎月の返済をさらに下げ、支払いが可能な状態を目指します。

任意整理について詳しくはこちら

自己破産・個人再生

奨学金以外の債務について任意整理したり、奨学金の返還期限の猶予や減額返還という方法では支払いが可能な状態にならない場合には、もう少し根本的な債務整理の手続きをする必要があります。それが、「自己破産」と「個人再生」という債務整理の方法です。

自己破産や個人再生をすると、奨学金を含むすべての債務が減免されます。自己破産の場合には奨学金の含むすべての債務が免除されますし、個人再生の場合には、奨学金を含むすべての債務が大幅に減額されます(いずれも、税金などの非免責債権は免除されませんが)。

したがって、自己破産や個人再生は奨学金が払えなくなったときの解決法としては効果的なのですが、よく問題になるのが、保証人への影響です。

自己破産や個人再生の手続きで奨学生の方の奨学金債務が減免されても、保証人の義務は減免されず、保証をした奨学金の全額を支払う義務が残るため、自己破産や個人再生の手続きが始まると、学生支援機構はすぐに、保証人に対して支払いを求めていくことになります。

したがって、自己破産や個人再生をすることを保証人の方に内緒にしたい場合であっても、それはできません。

奨学金を除外して自己破産や個人再生ができたらいいのですが、自己破産や個人再生という手続きは、任意整理の場合と違い、一部の債権者を除外するということができないのです。

なお、保証人に請求がいく場合、一括請求にはなりません。奨学金の引き落としの口座(リレー口座)を保証人のものに変更して、今まで奨学生の方が返済していた通りの分割払いでの引き落としを継続してもらうことができます。

自己破産について詳しくはこちら

個人再生について詳しくはこちら

他に債務がなく奨学金のみである場合

奨学金以外に債務がない場合には、返還期限の猶予や減額返還などの制度を利用して支払い可能な状態になってから支払いを再開するか、または自己破産や個人再生により解決が図れます。

「奨学金以外に借金がない場合に、自己破産等の手続きができるのか?」と、疑問に思われるかもしれません。
もちろん、奨学金がどんなに大きくても、返済が十分可能と考えられるような生活状況であれば自己破産は認められませんが、総合的に収入や資産など、債務のすべてを完済することが困難であると判断すれば、奨学金以外に債務がなかったとしても、裁判所は自己破産を認めてくれます。

したがって、上記の保証人への影響を気にする必要がない場合には、自己破産または個人再生での解決をご検討いただければと思います。

日本学生支援機構の救済制度

奨学金を支払えなくなった場合、学生支援機構では、次のような救済制度が用意されています。

これらの猶予制度を利用すると保証人に連絡が行ってしまうため、保証人に内緒ですることはできないという弱点はありますが、要件を満たしていれば必ず猶予が受けられますし、債務整理のように司法書士に依頼する必要もありませんので、まずはこれらの手続きをご検討いただければと思います。

※これらの救済制度に関してご不明な点については、日本学生支援機構にお問い合わせください。

減額返還制度

まず、奨学金の減額返還制度を利用すると、一定期間、分割払いの金額を2分の1または3分の1に減額してもらい、その分返済期間を延長してもらうことができます。

減額返還 ・JASSO(日本学生支援機構)

経済的な理由によって奨学金の返還が困難である場合、給与所得の方は年間収入金額が325万円以下、給与所得以外の所得のある方は年間所得金額225万円以下であれば、減額返還制度の適用を受けることができます。※被扶養者がある場合等に、一定額を控除できる場合があります。

ただし、減額返還の申込み及び審査の時点で奨学金の返還に延滞がある場合には、適用を受けられませんので、ご注意ください。

減額返還が認められた場合、月々の返還額が1/2または1/3となりますが、その分返還期間が2倍または3倍に伸びますので、返還予定総額は変わりません。

返還期限の猶予

分割払いの金額を減額してもらっても返済が困難であれば、奨学金の返還期限の猶予を利用できるケースがあります。

返還期限猶予 ・JASSO(日本学生支援機構)

経済的な理由によって奨学金の返還が困難である場合、給与所得の方は年間収入金額が300万円以下、給与所得以外の所得のある方は年間所得金額200万円以下であれば、減額返還制度の適用を受けることができます。※被扶養者がある場合等に、一定額を控除できる場合があります。

適用要件は、減額返還よりも少し緩和されています。

猶予してもらえる期間は、通算で10年間が限度となっています。ただし災害や病気、怪我、生活保護受給中や産休・育休中などのケースでは、10年を超えても、その状態が続いている期間中、猶予を受けることができます。

減額返還制度、猶予制度については、日本学生支援機構作成のこちらのリーフレットがわかりやすいので、こちらもご覧ください。

減額返還・返還期限猶予リーフレット-JASSO(日本学生支援機構)

両親が債務整理しても子供の奨学金は受けられる?

ここまでは、奨学金の貸与を受けた奨学生の方が、奨学金の返済が困難になった場合の解決策についてご説明してまいりましたが、次に、奨学金の保証人となる予定のある方が債務整理手続きをする場合についてお話ししたいと思います。

たとえば、ご両親が債務整理をするとき、将来お子さんが奨学金を受け奨学金の保証人となっている、または奨学金の保証人となる予定のある方が債務整理るときに問題にならないかどうかを、よく心配されます。債務整理をして自分の返済の負担が軽くなったとしても、お子さんが奨学金を受けられなくなっては大変ですので、心配されるのも当然です。

しかし、結論から申し上げますと、ご両親が債務整理をしても、お子さんが奨学金を受ける際に問題となることは少ないと思われます。

たしかに、日本学生支援機構の下記のホームページには、奨学金の保証人の条件として、「保証人には、次の条件すべてに該当する人を選任してください。」と記載されており、その条件中に、「債務整理中(破産等)でないこと」と書かれています。

保証人・連帯保証人の条件- JASSO(日本学生支援機構)

したがって、お子さんの奨学金を申し込む際にご両親が自己破産や個人再生の手続き中の場合、ご両親は保証人になることができません。

しかし、そのような場合には、人的保証を選択せず、機関保証を選択することで、お子さんは奨学金を受けることができます。機関保証というのは、保証機関((公財)日本国際教育支援協会)に対して保証料を支払い、連帯保証してもらうという制度です。

または、お父様が自己破産手続き中ということであれば、お母様が連帯保証人となるという選択肢もあります。

奨学金の連帯保証人である両親が自己破産すると?

では、すでに奨学金の保証人となっているご両親が自己破産等をするとどうなるでしょうか。

この場合は、学生支援機構から「ほかに保証人を立ててください」と言われることにはなりますが、候補者がいなかったとしても、お子さんが奨学金の一括請求を受けるというようなことにはなりません(実際に、過去に奨学金の保証人となっている方が自己破産された際、学生支援機構に確認しました)。

ただし、奨学金の保証人となっているご両親が自己破産等の手続きをするときに、奨学生であるお子さんが、奨学金の給付を受けている真っ最中である場合には、奨学金の給付がストップしてしまうようです。

この場合には、別の保証人を立てるか、機関保証に変更するかしないと、奨学金の給付がストップされてしまいますので、要注意です。

まとめ

奨学金の返済に困ったら、減額返還や返還猶予の制度の利用をご検討ください。猶予が認められれば、通算10年間の延長ができますので、時間的な余裕が得られます。

そして、奨学金以外にも債務がある場合には、猶予されている間に奨学金以外の債務について任意整理をすることで、奨学金以外の債務の返済負担を軽減できますので、こちらもご検討ください。

そして、減額返還や返還猶予の制度と任意整理を併用しても返済が大きすぎる場合には、自己破産や個人再生の手続きをご検討ください。

自己破産や個人再生は裁判所の関与する厳格な債務整理法ですので、手続きは大変ですが、奨学金やその他の債務全体を解決することができます。

どのような方法がいちばんいいかわからない場合には、司法書士にご相談ください。

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